腎盂・尿管がん
腎盂・尿管がんとは?
腎盂・尿管は上部尿路と呼ばれ、腎臓から作られた尿を膀胱に送る役割を果たしています。腎盂は腎臓の一部で、腎臓から送られてきた尿を尿管へ通し、そして尿が膀胱へと送り込まれます。この上部尿路にできるがんを総称して「腎盂・尿管がん」と呼んでおり、腎盂・尿管がんと膀胱がんは同じ、移行上皮細胞ががん化したものです。
腎盂・尿管がんは腎盂と尿管の両方に発症したり、膀胱内も含め、多発する傾向があります。罹患率は男性が多く、50歳以上で急増しています。
もっとも顕著な初期症状は血尿です。さらに進行すると、冒されている腎臓に尿が滞ることで機能不全に陥ることもあります。
治療は基本的に外科手術が行われます。腎盂・尿管がんの大きさや発症している場所によって手術方法は異なりますが、膀胱部分切除も併せ、腎尿管全摘出がもっとも多く行われます。腎盂・尿管がんは膀胱内、反対側尿管へも再発しやすいがんですので念入りな注意が必要です。
術後の5年生存率は90%以上。しかし、がんが粘膜の内側から筋層まで広がっている浸潤がんの5年生存率は10~40%と低く、リンパ節から他臓器へ転移する可能性も低くはありません。
種類
腎臓がんは大きく二種類に分けられ、1つは「腎細胞がん」、もう1つは「腎盂がん」です。「腎細胞がん」は、腎臓本体、尿細管内から発生するがんで、一般に言われる腎臓がんとは腎細胞がんになります。
また腎盂、尿管、膀胱、尿道の一部にできるがんは「腎盂がん」になります。腎盂がん、尿管がんと呼ばれていますが、殆どは「腎細胞がん」と違い、膀胱にできるがんと同じ種類の「移行上皮がん」と呼ばれ区別されています。この2つの腎臓がんの分類の他、50歳以上に多い悪性腫瘍と小児に発生する「ウィルムス腫瘍」があります。
症状
典型的な初期症状は肉眼でもはっきり分かる血尿です。進行すると尿が流れにくくなり、病巣より上部にある腎盂や尿管、腎臓が拡張して水がたまり(水腎症)、患側の腰や背、わき腹などに痛みが伴うことがあります。この状態が長引くと冒された腎臓が機能しなくなります。
原因
喫煙や肥満などの生活習慣やフェナセチン含有鎮痛剤などが影響しているとも考えられています。
再発転移
腎盂・尿管がんが転移しやすい部位は肺、骨、肝などが挙げられます。また、膀胱内へ再発する場合があります。
治療
治療は主に外科手術を行い、腎臓・尿管を含めた上部尿路を摘出し膀胱を部分切除します。発症した反対側の腎盂・尿管の再発は稀ですが、膀胱内で再発する可能性はあります。発症した部位が尿管だけのとき、あるいは一つしかない腎臓にがんが出来たときは病巣だけを部分切除するケースもあります。また悪性度の低い場合は内視鏡レーザーで病巣を切除することもあります。術後は、再発を防ぐために抗がん剤治療や放射線治療を行います。