乳がん

乳がんとは?

乳がんは一般的には女性に発症するがんで、平均発症年齢は50歳前後ですが、最近では20代で発症するケースも目立っています。成人女性であれば誰でも発症する可能性がある病気と言えるでしょう。
初期症状は乳房のしこりで、痛みはありません。しこりが大きくなり、痛みなどの自覚症状が現れてから自覚するケースも目立って来ているようです。比較的高い頻度で骨や肺などに転移します。

乳がんの治療は手術を最優先します。手術には乳房を残す「乳房温存手術」と、乳房を全て取り除く「乳房全摘手術」があります。最近では審美的に優れた乳房温存手術を選択するケースが増えています。
術後は放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン療法などを行います。手術後の再発率は比較的低いとされていますが、骨や肺、頸部リンパ節、肝臓などへの再発の可能性が少なくありません。
また、乳がんの10年生存率は乳がん全体で約70%、進行性の乳がんになると50%となります。

種類

乳がんは「非浸潤がん」「浸潤がん」「パジェット病」の大きく3つに分けられますが、普通のしこりを触れる乳がんのほとんどは浸潤がんで、「硬がん」「乳頭腺管がん」「充実腺管がん」などの一般的ながんと、「粘液がん」などの特殊型とがあります。
「乳頭腺管がん」は、きのこ状に発育するがんで、乳がん全体の約20%がこのタイプです。リンパ節転移の確率も低く、予後も良好です。
「充実腺管がん」は、腺腔(管の通り道)が不明瞭な小さな腺管の、中身を押し広げるように増殖するがんで、乳がん全体の約20%を占めています。予後の悪性度は中程度とされています。
「硬がん」は、乳管の外側に砂をパラパラとまき散らしたように発育するがんで乳がん全体の約40%がこのタイプです。特殊型を除けば最も悪性です。
乳がんの「特殊型」とは、粘液を多量に含む「粘液がん」、乳腺炎と間違われることが多い「炎症性乳がん」などですが、発症頻度は少ないです。

症状

ステージ0期の早期乳がんは、しこりが乳腺の中に留まっている状態で自覚症状がほとんどありません。ステージⅠ期のがんの大きさは2㎝以下で、乳房に触れるとしこりを感じますが、この段階ではリンパ節への転移はありません。ステージⅡ期ではしこりの大きさが2~5㎝になり、リンパ節への転移が始まります。ステージⅢ期になると皮膚に変化が見られ乳房にえくぼのようなくぼみができ、赤く腫れてきます。さらに進行すると、皮膚にただれやむくみ、崩れ、あるいは乳房付近のリンパ節が腫れて腕のむくみやしびれを感じることもあります。ステージⅣ期になると骨や肺、肝臓、脳に転移し、それらに伴って様々な症状が現れ始めます。

原因

乳がんの発症には、女性ホルモンであるエストロゲンの働きが影響しています。経口避妊薬(ピル)や閉経後のホルモン治療により、リスクが高まっている可能性も考えられています。また、「初潮年齢が早い」「閉経年齢や初産年齢が遅い」「出産歴や授乳歴がない」などもリスク要因といわれています。

生存率

術後の5年生存率はステージⅠ期で98.2%、ステージⅡ期は91.5%、ステージⅢ期では67.8%、ステージⅣ期になると31.5%です。

再発・転移

再発のほとんどがリンパ節、骨、肺、肝臓、脳への転移です。また、切除した側の胸壁や皮膚、乳房近くのリンパ節などの再発もあります。

治療

ステージⅠ期―Ⅲa期では乳房全摘手術が原則ながら、場合に応じて乳房保存手術も試みられますが、これらの選択についてはがん自体の大きさが影響します。
そして、ステージⅢb、c期になると、抗がん剤治療や放射線治療でがんを小さくした後に外科手術を行う方法が行われています。
ステージⅣ期の段階で乳がんが発見された場合は、全身の他臓器への転移があり、原則として手術は行わず、出来ればホルモン剤、そして抗がん剤治療や放射線治療が主体の治療となります。

提携先の神戸ハーバーランド免疫療法クリニックでは、今迄に多くの乳がん患者さまに免疫治療を行って来ましたが、その中で、抗がん剤、放射線治療の甲斐なく胸壁から皮膚へのがん浸潤が止まらず、免疫治療を希望して受診された患者さまに対し、独自に開発した樹状細胞ワクチンを直接患部へ投与することでがんの皮膚浸潤の顕著な改善を経験しています。
ホルモン療法、抗がん剤などの治療だけでは不十分な患者さまに対し、樹状細胞ワクチン療法、活性化Tリンパ球療法、そしてNK細胞療法などから常に患者さまに適した免疫細胞療法を検討、積極的に実行しています。