頭頸部がん
頭頸部がんとは?
頭頸部がんは、部位によって口の中にできる口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、そして唾液腺がんに分けられ、唾液腺がん以外はその殆どが扁平上皮細胞由来のがんです。
(*この項では口腔がん以外を扱います。)
頭頸部がんは、大抵が放射線への感度が高い扁平上皮細胞由来であること、そして解剖学的見地からQOLがより考慮され、放射線治療が根治法として優先されています。また、相加、相乗作用を期待し、抗がん剤との併用が多くの場合で行われています。
全体として、治療後の5年生存率は40~50%程であり、周囲リンパ節に転移し易い下咽頭、喉頭がんなどは手術が優先されていますが、予後は比較的不良とされています。
種類
頭頸部のあらゆる場所にがんは発生し、がんの発生場所によって「喉頭がん」「下咽頭がん」「舌がん」などと区別されますが、部位によって頻度に差があります。頻度の高いものとしては「喉頭がん」「下咽頭がん」「甲状腺がん」などがあります。
扁平上皮がんと呼ばれるタイプが最も多く、鼻腔、口腔、咽頭、喉頭などの頭頸部の管腔では90%がこのタイプです。
症状
●咽頭がん
首のリンパ節の腫れ、のどの違和感、痛み、嚥下障害、呼吸困難などの症状が出ます。
●喉頭がん
食べ物を飲み込んだ時の異物感、声がかれる嗄声(させい)、呼吸困難などの症状が出ます。
●鼻腔がん
がんにより鼻腔が圧迫され、鼻づまり、鼻出血、頭痛、悪臭のある鼻汁が出たりします。
●甲状腺がん
嗄声、呼吸困難、血痰、嚥下障害などの症状が出ます。
●唾液腺がん
耳下部の痛み、腫れ、顎下の腫れ、舌の下や顎の下が腫れたりする症状が出ます。
原因
頭頸部の、特に扁平上皮がんは従来から、過度の喫煙・飲酒との関連の深さが指摘されており、遺伝的素因も重要なポイントです。
生存率
全体として、治療後の5年生存率は40~50%程です。
再発転移
下咽頭、喉頭がんは周囲リンパ節に転移しやすいといわれています。
治療
咽頭、喉頭がんなどは手術が優先されながらも、扁平上皮がん細胞が放射線に比較的感度が高いこともあり、頭頸部がんには抗がん剤と共に放射線治療が多用される傾向にあります。
放射線照射によってがん細胞が破壊され、それによってがん抗原が体内へ大量に散乱します。樹状細胞がこれを見つけ、捕える働きが活発化することで免疫システムがダイナミックに動き出し、免疫の兵隊であるリンパ球が積極的にがん細胞を攻撃し始めます。そしてこのタイミングに合わせ、患者さまの免疫力を更に増強すべく、樹状細胞、並びに活性化リンパ球を多量に投与する治療を積極的に行っています。